───解放しろ、全てを。

MILCREAとかいう2017年最高のアイス

ミルクレア

MILCREA(ミルクレア)

突然だが、皆さんは何のアイサー(ic・er / άɪsɚ)だろうか。スーパーカップのアイサー、MOWのアイサー、パピコのアイサー(強いぞパ〜ピ〜コ〜)、様々なアイサーがいることと思う。周知の通り私はダッツのアイサーであり、ダッツ以外をアイスとは認めていない。

手ぶれが酷いので分かりづらいが、写真の通り。ダッツ以外は口にしないことにしている。しかしつい3日前、家からチャリ30秒のファミマに行く用事があったのだが(普段はチャリ10秒のセブン使ってます。10秒ならもう歩けよ。)、アイス置き場に目をやると洗練されたパッケージのバーアイスが置いてあるのに気づいた。そう、勘の良い諸兄ならお気づきのことと思うが、冒頭の写真にもある「ミルクレア」である。

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そして名前も良い。「ミルクレア」というネーミングには謎の上品さを感じる。また、チョコレートアイスという雰囲気なのに名前がミルクレア。ミルク部分には何かあるに違いない。そう確信した僕は、気がつくといつの間にかミルクレアを買ってコンビニの外に出てしまっていた。

───歩くたびにぬるっとした空気が体にまとわりつくような、夏い暑の日だった。コンビニから出た僕は、ビニール袋を手からぶら下げていることに気づいた。でも変だ。コンビニで何かを買った覚えはなかった。記憶をたどってみても、僕はレジを通ってきてすらいない。万引き・・・?いや違う。品行方正、美術の成績が常に5だった優等生の僕がそんなことをするはずがない。というかそもそも───記憶が、無かった。記憶がないと言っても人格の解離症状にキレるミュウツーのような状態ということではなく、ここ数分間の記憶がないのである。Who Am Iでもない(ジャッキーチェン)。そうそう。我是誰?じゃないです。一体何が起きたんだ・・・?暑いから?ヤバそうな婆さんに話しかけられた時適当にごまかしたのがダメだったか?(煙草を吸いながら毛づくろいをしていた。塩食ったらガンになるとか言ってた)手がかりを探すようにビニール袋を見た。というか僕は何買ったんだろ。ゴソゴソのゴソ。ゴソゴソ。

───袋から出てきたのは、"MILCREA"と書かれた一振りのアイスバーだった。

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第1章 チョコレートスキン

コンビニの袋から出てきたのは、上品なパッケージのアイスバーだった。なに・・・これは・・・。ここ数年ハーゲンダッツァーを貫き通してきた僕にとって、それは久々に見るハーゲンダッツ以外の包装だった。

「とりあえず・・・」

気温が体温を超えているような。温度差で空気が汗を滲み取っていくような、ありえない暑さを感じていた僕は、とりあえず包装を破った。棒部分を掴んで ぬぷ と袋から抜き出す。ん……ぬぷ……素早く抜いてしまえば、暑さで濡れそぼったアイスは棒からも抜け出てしまうだろう。だから慎重に、破れそうな花弁を指先で繰廻すように、抜く。ぬぷ…。そうして露わになった肢体は黒光りする先端が美しく、一見硬く引き締まったように見えたその躰は、よく見ると丸みを帯びていた。包装で見たような上品さが際立っていた。しかしゆっくり見ている暇もない。暑さが質量を孕んだような外気は、僕の手の中のそれを今にも剥ぎ取ろうと勢いを増していた。僕は表面の先走りが地面に落ちないように舌で絡め取りながら、淫靡な屹立にしゃぶりついた。

「・・・懐かしい。」

ふとした感覚は、"懐かしさ"だった。いや分からない。言ってみたかっただけかもしれない。屹立にしゃぶりついた経験もない。とにかく僕は、唐突なノスタルジーに包み込まれた。この感触、食感は以前にも経験したことがある気がする。肉厚・・・重厚なチョコレート・コーティングだった。アイスバーのチョコレート・コーティングには大きく分けて二つあると思う。一つは、パリッとしたチョコレートが耳に心地よい、薄いチョコレート・コーティング(Thin-chocolate-coating*1)。そしてもう一つは、齧れば シャクッ…という音を骨伝いで感じることのできる、分厚いチョコレート・コーティング(Thick chocolate coating)。ミルクレアは紛れもなく後者だった。しかし、シャクッ…という音が強く主張しているのかといえばそうでもなく、若干の湿り気を帯びていることでより淑やかになっていた。淑やかに、齧ったところから顔を出しているミルクアイスを包み込んでいた。

 

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第2章 水蜜の白濁

コンビニから出てどれくらい経っただろうか。・・・いや、まだ角の総菜屋にすらたどり着いていない。そんなに時間は経っていないはずだ。バーアイスは残り半分もなくなっていた。この短時間で、もう半分。夏の暑さが、僕にそうさせた。

───中心部のミルクアイスに到達した頃は、硬く芯のあるミルクと外側の分厚いチョコレート・コーティングの相乗効果で、このアイスの「意志の強さ」みたいなものを感じていた。

「この硬さなら家まで溶けずにもってくれそうだ」

最初はそんなことを思っていた。しかし、外気は僕の予想などあざ笑うかのように、執拗にアイスを嬲った。一歩進むたび明らかに硬さは失われ、天を差して屹立していたミルクアイスは、もはや情けなくその水満を垂れるのみであった。だが、ここで気づく。確かにミルクアイスはすでに固体とは呼べなくなってしまっているが、ただだらしなくビシャビシャになっているわけではなかった。柔らかくなったミルクアイスは、頑然とその粘性を保っていたのである。僕は感動すら覚えてしまっていた。あれだけ外気に責められ、陵辱され続けてもなお、心までは屈していなかった。クリムゾンのクライマックス一歩手前という感じだ。僕がこのアイスに最初に感じた「意志の強さ」はここにきて、いや、この暑さだからこそ、発揮されていたのである。ミルクの白さも、清廉な強い意志を表しているかのようだった。

「・・・白?」

突然、頭に稲妻が走ったような感覚に襲われた。白・・・。塩・・・?あの婆さんの言葉が頭をよぎる。そして何かに動かされるようにしてビニール袋の中を漁った僕は、全てを悟った。

「思い・・・出した!」

つまり

とてもおいしかったということです。

翌日業務スーパーで箱買いしてしまいました。

みんなも一度、食べてみてくれよな!

この箱のやつ、ネットで買うと1箱400ちょいだけど昨日業務スーパーで買った時確か300円くらいだった気がする。

業務スーパー行こう。

てかまずは箱じゃない1本包装のやつ買おう。コンビニとかで。

そして2019年へ・・・

実はミルクレア、この後あらゆるコンビニから姿を消し、気軽に手に入らなくなっちゃったんですよね。

ところが。

時は2019年夏。(今年)

新しくなってローソンに帰ってきたみたいです。

食べます(迫真)

おわり

*1:Thin-chocolate-coatingが全てパリッとしているわけではない。PARMというアイスバーは、しっとりとした口触りの良いコーティングが特徴で人気を集めている。また、コーティングの中にクッキーやアーモンドを埋め込んだりと、Thin-chocolate-coatingはバリエーションの幅が広い。